555字 ゾロ目

東京という名の孤独

佐藤 一郎555字 / 約2
「東京という名の孤独」のイメージ写真

この街は眠らない。深夜2時のコンビニも、早朝5時の駅のホームも、いつも誰かがいる。それなのに、なぜ人はこんなにも孤独を感じるのだろう。

都市の孤独は、田舎の孤独とは種類が違う。田舎では「一人でいること」が景色としてはっきり見える。でも都市では、人混みの中に溶け込みながら、誰とも本当には繋がれていないという逆説的な孤独がある。近いのに、遠い。

私が東京に来て最初に驚いたのは、誰も目を合わせないことだった。電車の中、エレベーターの中、横断歩道の前。みんな自分のスマホを見ているか、遠くを見ている。それが都会の礼儀なのだと、しばらく暮らしてから知った。

でも時々、不意に誰かと目が合う瞬間がある。その一秒に、不思議な親密さを感じる。見知らぬ人との間に、ほんの短い時間だけ流れる静かな連帯感。名前も知らないのに、たしかに何かを共有している。

東京の孤独は、決して悲しいだけではない。この匿名性の中にこそ、自由がある。誰にも縛られず、誰にも説明せず、自分だけの時間を生きられる場所。それが都市というものの、本当の顔なのかもしれない。

その自由は、ときに寂しさと見分けがつかなくなる。それでも私は、群衆の中でひとりでいられるこの感覚を、少しずつ気に入りはじめている。今日もその横顔を見つめながら、私はこの街で静かに息をしている。

「東京という名の孤独」の写真 2

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